ハマる要素絶大、麻薬的要素を持った徹夜必至の激烈おもしろパズル
タイトル画面。仕掛けを見てるだけで楽しいです。 ちなみに最後には上のTHEがコンベアで運ばれます。


もっともっとインクレディブル・マシーン

サイベル(開発元:SIERRA) Windows


数多くのタイトルが登場しそして消えていくゲーム市場においては、面白いのにほとんど日の目を見る事無く埋もれていくという『隠れた名作』と呼ばれるモノがあります。
海外で製作されたこの『インクレディブル・マシーン』シリーズは、間違いなくそんな隠れた名作のひとつだと、私は断言します。
事実、このゲームは海外では15以上ものメジャーな賞を受賞しました。
もちろん、それはゲーム自体がとてつもなく面白かったから
ちなみに最新作は、『GAMESPOT USA』の2001年ベストパズルゲーム賞の候補にノミネートされていました。
でも悲しいかな、日本のゲーム市場ではこのゲーム、あまり名前が知られていない、というかどちらかといえばマイナーなゲームだというのが現状。
これを書いている2001年12月現在、Googleで『インクレディブルマシーン』と検索しても引っかかったのは100件程度でした。
正直な所、これほど楽しくて、愉快で、熱中出来る超絶名作ゲームが、日本のゲーマーの間ではなぜ大した知名度じゃないのかというのが、不思議でならないです。
私はこのゲームを知り合いの何人かにプレイさせたことがありますが、『面白い』という意見はあっても、『つまらない』という意見は一度も聞いたことないです。
いや、実際の所、『インクレディブル・マシーン』を知っている人の中で、このゲームはつまらないゲームだと思っている人は恐らくいないんじゃないでしょうか。
それくらい、プレイしてて楽しい楽しい傑作ゲームなのです。
というわけで、ここでは一人でも多くの人にこのゲームの魅力を知ってもらうために、『もっともっとインクレディブル・マシーン』の魅力を語っていこうかと思います。
そして……。
一面のパズル。ベルトコンベアをうまく動かし、バスケットボールをシュート!

『もっともっとインクレディブルマシーン』は、ジャンル的にはパズルゲームに分類されます。
登場は1995年。 ちょうどWindows95が出た頃と同じ時期ですね。
シリーズとしては『もっともっとインクレディブル・マシーン』は2作目で、1作目のタイトルは『インクレティブル・マシーン』となっています。
といってもグラフィックや内容は1作目とまったく同じで、面数が増えたのと新しいアイテムが数点追加されたという部分のみ異なります。
いうなれば、1作目+追加面という、ほかのゲームで言うならアドオン同梱パックというやつですね。
ちなみに日本では3作目である『インクレディブル・マシーン3』も出ています。


『もっともっとインクレディブル・マシーン(以下インクレ)』は先ほども言いましたが、面クリア型のパズルです。
内容は一言でいうと、『仕掛けを作るゲーム』。
なんといいますか、ほら、漫画とかでよくある、ある仕掛けを一つ動かしたらそれが次々と他の仕掛けに連鎖、連動していき、最終的に何かしら達せられるというやつです。
昔風に言うと、『風が吹けば桶屋が儲かる』という感じですか。
たとえばねずみ滑車にベルトコンベアをつないで、コンベアの上にボールを設置し、その先にはトランポリンがあり、ボールがトランポリンで跳ね返り、先にある電源スイッチを入れて扇風機が回りだし、その風でネズミが飛ばされて、その先にはシーソーがあり、ねずみによってシーソーが動き、そのシーソーにつなげられているロープが電球のヒモを引っ張り、その電球の光で太陽電池式の電源ユニットが動き、そこに繋げられている掃除機が動き出し……という具合。
映画でいうなら、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の冒頭で出てきた自動ドッグフード設置マシーンみたいな感じですか(マニアックだあ)。
つまり、アメリカのコメディ番組でよく見られるような、素朴でユニークなギミックを作り、ステージ事に定められた条件を満たすゲームというわけです。
例としてステージ1をあげてみましょう。

このステージのクリア条件は『バスケットボールをシュートしろ(2番目の画像参照)』となっています。
これを達成するためにはまず左端のボーリング玉の下にネズミ滑車を置き、その滑車とベルトコンベアを繋げます。
するとボーリングの玉に反応してネズミが走り、それによってコンベアが動くようになります。
そしてそのベルトコンベアにより転がるボーリング玉の先にさらにネズミ滑車をつなげ、そのネズミ滑車をさらに上のコンベアにつなぎ、同様の事を行います。
そして最終的にバスケットボールの下のコンベアを動かし、めでたくバスケットボールはゴール。

こんな感じで仕掛けを組み立てていき、ステージをクリアしていくわけです。
子供時代、誰しもこういう仕掛けを一度は作ったことがあるものですが、そういう素朴な遊びをゲームにしてしまうとは、まさにアイデアの勝利。
まさにコンピュータゲーム上でしか実現できないコンピュータならではのパズルですね。
ちなみにステージ数は全部で160面とボリュームたっぷりで、やりごたえに関しては申し分ないです。
サルはバナナを見ると自転車をこぎます。サルらしいというかなんというか……

このゲームらしい特徴といえば、じっくり考えるパズルだということ。
ここ最近のコンピュータ上のパズルゲームといえば、時間制限があったり、もしくはある程度のアクション性が要求されたりなど、頭と操作をフル回転させなければならないというなかなかせわしないモノが多く、落ち着いてプレイするパズルゲームはあまりないようです。
しかし、インクレはそれらのパズルゲームとは違い、時間制限によるペナルティやアクション性などは皆無(早く解くと高得点が入るだけ)
時間やアクションにせかされることなく、腰を据えてじっくりと考え、一つ一つの仕掛けを考えながら、そして試行錯誤を繰り返しながらクリアしていくというスタイルのゲームなのです。
つまりは、アクション性0%でパズル性が100%な、『考える事』と『解く事』の楽しさを存分に味わえるパズルゲームというわけです。
例えるなら、倉庫番や詰め将棋のような感じでしょうか。
考えに考えて仕掛けを一つ一つ作成し、そして面をクリアしていくというプレイは、知恵熱が出そうなくらい楽しく、かつ熱中してしまいます
また、アクション要素が求められないということは、言い替えれば誰にでもお手軽に楽しめるゲームだともいえます。
つまり、プレイヤーによる腕前の差というものは一切関係がなく、老若男女どの層においても同様に楽しくプレイできるという、プレイヤーを選ばないゲームなのです。


このゲームの特に優れている特徴のひとつとして、パズルの解き方はひとつではない、というのがあります。
各面には『ボールをカゴに入れなさい』や『バケツを落としなさい』といった色々なクリア条件が設定されていて、その条件を満たせばその面はクリアとなり、次の面に進みますが、ここで注目したいのが、『クリア条件さえ満たせるのなら手段は問わない』という事。
これは裏を返せば、どんな方法を使おうがとにかくくりあ条件さえ完遂すればクリアになるということを意味しています。
各ステージにはあらかじめ設置されているオブジェクトがあり、アイテム置き場にはプレイヤーが使用可能なアイテムが数種類用意されていますが、しかしこれらは決して全て使う必要はなく、クリア条件さえ満たせるのなら使わないアイテムやオブジェクトがあってもいいのです。
つまり、解き方はプレイヤーの工夫次第、自分の好きなように解けばいいというわけです。
この手の面クリア型パズルの中には、クリアまでの手順矢パターンはひとつ、多くても数種類しか存在しないことが多いのですが、しかしこのインクレはプレイする人によってクリア方法がガラリと変わってしまうのも珍しくないという、ある意味クリアするためのパターンが無限に存在するゲームだといっても過言ではないのです。
序盤こそルールやアイテムの使用法を覚えてもらうための練習として、一定のパターンでしかクリアできないようなステージが多いですが、しかし中盤から後半にかけてはそれこそ人によってさまざまな解き方が存在しえるのです。
そんなわけですから、このゲームを複数人数でやると、人によって『そう来るとはっ!』というような意外な解き方を発見する事もあるのです。
十人十色、人が変われば意見や思考も変わるとはよく言ったものですが、このゲームはまさにその典型ともいえるわけです。
時には今までの発想を転換した仕掛けを作ってみる、時には逆転の発想を用いてみるなど、さまざまなクリア法を試していけるというのは非常に楽しいです。
ある意味、柔軟な思考力を養うゲームとしても使えるかも?
121面。ここらへんまでくると、かなり柔軟な思考が要求されるようになります。

このゲームで面白いのはさらに、アイテムやマシーンの使用法も様々であるということです。
先ほど面をクリアするための方法はひとつではないと言いましたが、このゲームではそれと同時にアイテムの使い方も特に決まってはいないのです。
もちろん、各アイテムやマシーンには基本的な使用法というのは設定されていますが、プレイヤーは決してそのとおりに使う必要はなく、クリア条件さえ満たせるのなら本来の使用法とは大きく外れた使い方をしても別段問題ないのです。
例えばシーソーですが、通常はロープを取り付けたりボールを落として動かしたりという使い方をします。 が、場合によってはネズミや猫が通るための通路やオブジェクトを落とさないためのフタ、また何かを遮るための壁として使うことも出来ます。
ボールや玉なども、通常はシーソーを動かしたり、何かにぶつけたりして使うのが一般的な使用法ですが、しかし時には壁として、動物を刺激する手段として、重りとして、他のボールを反応させるための手段としてなど、使い方は様々。
このように、どのアイテムもプレイヤーの工夫により色々な使い方が出来るのが特徴であり、なおかつ面白い。
時には思ってもみないような使い方により、意外な側面として役立つことも
パズルといえば柔軟な発想や思考が求められるものですが、インクレは正にそんな柔軟な思考力を養える、そして役立てることが出来るゲームと言えるわけです。
ただ、唯一欠点だと思ったのが、アイテムを扱うためのインターフェース、特にアイテムの方向転換や伸縮などが若干やりにくいということですか。
まあ、ゲーム自体面白いので、慣れてしまえばそれほど気になるものではありませんが。
それに、続編ではちゃんと解決されていましす。


このゲームで優れている点として、面毎の内容が全て異なるというのがあります。
インクレは全160面ですが、それらの面は全て異なるオブジェクト配置となっており、また使用可能なアイテムも異なり、さらには面をクリアするための条件も異なります。(時には重力が異なることも)
大げさに言ってしまえば、同じパターンの面は一つとしてないといっても過言ではありません。
毎回同じパターンが続くことを俗に『マンネリ』といいますが、インクレは全ての面が異なる条件の元で展開されるので、プレイしててマンネリになることがないのです。
言い替えると、どの面をプレイしても常に新鮮な気分常に新しい挑戦であり、プレイしてて飽きが来ないのです。
つまりは、面をクリアする毎に、次はどんな面なのだろうというワクワク感を味わえ、面毎に新しい気分でプレイが楽しめるんですよね。
金魚蜂に興味を示すネコ、そしてネコから逃げるねずみ。

インクレの良い所の一つとして、面クリア型のゲームなので、達成感が強く味わえるというのがあります。
いうなれば、プレイの区切りがつけやすいということであり、またプレイをやり通したという実感が強く味わえるわけですね。
今日は3面だけプレイしようとか、後一面だけで今回は終わろうとか、とにかくそういう形で特定の面でゲームを中断、もしくは特定の面までゲームを達成するということがやりやすいというわけですね。
もっとも、インクレはあまりに面白いので、あと一面、あと一面といいつつ、ついついハマッてしまう事が多いので、区切りをつけたくてもなかなかつけにくいゲームですけど(笑)。


インクレは素朴でユーモラスな仕掛けを作成するゲームですが、大体この手の仕掛けというのは誰しも子供時代に作ったことがあるものです。
しかも、結構熱中したりして。
なぜかというと、私としてはこういうユーモラスな仕掛けというのは、仕掛けることが面白いのと同時に、複雑な仕掛けが作動する様はドキドキワクワクするような楽しさがあるからだと思うんですよね。
様々なマシーンを組み合わせ、それがうまくつながってテケテケと作動していくのは見てて非常に楽しく、さらには物を作る遊び心というのを思い出させてくれます。
一見複雑だけど、実は簡単な部類のパズル。

インクレで良く出来ているところとして、各アイテムやマシーンはかなり物理法則に忠実な動きをするというのが上げられます。
例えば同じ大きさでも、バスケットボールとボーリングの玉は重さや弾力などかなり異なります。
ボールは何もしないと下に落ちていき、坂道では転がっていきます。
金魚蜂は何か衝撃を受けると割れてしまいます。
扇風機や掃除機は電源がないと動きません。
風船は固定しない限り上に浮かびます。
また、風船は何かとがったものに触れると割れてしまいます。
ロープで物を引っ張るときは、ちゃんとロープをピンと張らなければなりません。
ハサミを使うと、風船を割ったりロープを切ったりすることが出来ます。
虫眼鏡を使うと、光を一箇所に集中させて火をつけることが出来ます。
スイッチの上にボールなどが落ちるとそのスイッチはオンになります。
このように、インクレのアイテムやマシーンは実際のものの動きにかなり近いアクションが起こるようになっているのです。
大げさに言えば、これを子供の情操教育として使うことも出来るのです。
いや、うわさによると、これを本当にそのような教育目的で使っているところもあるらしいです。
もっとも、所々インクレディブル(信じられない)なアクションや法則もいくつかありますが、まあそれらはご愛嬌として受け止めましょう(笑)


このゲームには全160もの面があり、もちろん後の面になるにつれて難しくなっていきます。
ここで好感を持てるのが、その難易度の上昇具合
序盤の21面まではアイテムやマシーンの使用方法を覚えるような形式の面である『チュートリアル』形式の面となっており、プレイしているうちに自然とアイテムやマシーンの使用方法がわかるようになっています
中盤から本格的なパズルが始まるわけですが、そのパズルも段々と難しくなるという形なので、非常にいいバランスで面が構成されています。
金魚はボブという名前。なんだかイメージが変(笑)

このゲームで個人的に気に入ってるのが、音楽。
この手の面クリア型パズルゲームにしては、かなり曲数は多く、全部で20もの曲があるというのがいいですね。
またその曲の種類も、異国情緒あふれるものからピアノ演奏もの、妙にのんびりしたものなど、とにかく多彩。
しかしながら、どれも非常にパズルにマッチしてていい感じです。


このゲームで面白いと思ったのが、名前。
ゲーム中にはネコ、ネズミ、金魚、サル、ワニ、小さな子という生き物のキャラクターがいますが、それぞれの生き物に名前がついているというのが、妙に海外のゲームっぽいですね
参考までにあげると、ネコはポーキー、ネズミはモート、金魚はボブ、サルはケーリー、ワニはアーニー、小さな子はメルとなっています。
ゲーム中においても、『ポーキーにえさ(ネズミ)を与えなさい』とか、『金魚のボブが新しい金魚蜂をほしがっているので、今の金魚蜂を割りなさい』、『最近運動不足気味なケーリーを運動させなさい』、『モートとその仲間を巣穴まで帰しなさい』など、それぞれのキャラの特徴を生かしたなかなか面白い条件などもあります。
あと、各面にタイトルがついているというのもなんか遊び心を感じさせていいですね。
1面は『PUT THE BALL IN THE HOOP』、2面は『MIRROR IMAGES』、3面は『FLIP、FLIP、FLIP』など、それぞれの面の特徴を簡潔に表しています。 また、中にはゲームを解くためのヒントとなっているタイトルなどもあったりするので、なかなか侮れません。
猫をパンチするのが、この面のクリア条件です。どうやって解くか、わかります?

インクレには通常のパズルモードのほかに、フリーフォームモードと呼ばれるパズル作成機能がついています
これは一言でいうと、プレイヤーによるオリジナルのパズルが作れるということです。
通常のパズルをやり尽くした人の為のモードだといえますが、残念ながら私は使ったことがないので、これに関してはコメントできません。
ちなみにこれらのオリジナルマップは、2001年12月現在、ネット上でチラホラと公開されているようです。


このゲームでけっこう楽しげなのが、マニュアル。
このゲームのマニュアルには、パソコンゲーム雑誌などでおなじみ、寺島令子によるマンガが付属されています
内容はサルと博士のやり取りによるゲームのルール説明マンガですが、ドタバタ的に展開される内容は笑えるので一気に読めてしまいます。
それにゲームの内容がしっかりと説明されいるので、これを読めばゲームの基本的なことがほぼ全てわかるようになっています。
こういうユーザーに親切かつ楽しめる要素をつけるというのは、非常に好感が持てますね。
このように、風船を時には通路として使うこともあります。

さて、ここまで長々とインクレに関して書き連ねてきました。 いや、誉めちぎってきたといいうべきかな?
とにかく結論的にいうならば、これは誰にでもオススメできる、そして誰しもサルのようにハマる要素満点な超超超優良名作パズルゲームだと、声を大にして言いたいです。
パソコン版のみで家庭用ゲーム機に移植されていないからか、それとも時期的にまだパソコンがまだそれほど一般的ではない頃に出たからか、とにかく日本においては知名度がかなり低いというのがもう残念でなりません。
プレイすればほぼ必ずハマるゲームだといっても過言ではないんですけどねえ。
私などは、もう一面だけプレイして終わろう、もう一面だけで終わろう思いつつ、いつのまにやら数時間もの間ぶっ通しでプレイし続けてしまった、ということがいったい何度あっただろうか……。 ちなみに全面クリアを2回達成しています。
ハッキリ言って、私の拙い文章では、このゲームの魅力を全て語ることなどできません。
とにかく、これを見た全ての人に、一度はプレイしてほしいゲームです。
最後に一言。
とにかくすれ!!
かなり難解。 頭をフル回転、そして時には大胆な発想が求められます。

……と、ここまで見ているほうが嫌になるくらい、熱く熱くインクレをベタ誉めしまくってきたわけですが、それは当然これを見た全ての人にこのゲームをプレイしてほしいという魂胆があるからです。
が、しかしひとつ大きな問題があるのです。
それは、『インクレディブル・マシーン』シリーズの日本語版の販売元であるサイベルは、どうやら2000年9月15日をもって開発元とのライセンス契約が切れたらしく、販売とユーザーサポートが終了してしまったということです。
これはとどのつまり、もう新品でこのソフトを手に入れることは事実上不可能ということであり、中古パソコンソフト店などに行かないと入手できないということを意味しています。
ただでさえ販売本数の少なかったこのゲーム、その上中古でしか存在しないというのは、言ってしまえば今現在手に入れるのは非常に困難だという事です。
面白いゲームなんですが、プレイしたくてもそう簡単にできないようになっている現状が、非常に残念ですね。
ただ……??


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